audio-technica ATH-AWAS

Date*2020年06月08日(月)

Update*2020年09月13日(日)

「audio-technica」から2019年11月に、バランス接続に対応した有線ヘッドホン『ATH-AWKT』『ATH-AWAS』が発売されました。

最大の特徴は木製ハウジングで、数多い木材の中でも特に音響効果に優れる「黒檀」「アサダ桜」が使われています。また、ドライバーもそれぞれに最適な設計を目指して開発され、素材も異なるものが採用されました。細部までこだわって作り上げられたハイエンドのヘッドホンです。

レビューする人により評価はさまざまありますが、無理やりまとめれば、

◆ATH-AWKT
audio-technicaの伝統的な音。旧来の弱点を克服し、進化した。低音はしっかりと鳴るが出しゃばらない。中音・高音は空間的な広がりがあり、表現力が豊か。そのままでも魅力的な音だが、曲調と相性の良い機器を組み合わせると、さらに理想的な音を引き出す。クラシカルな曲調にフィットしやすいが、機器の選び方次第で現代的な曲調でも能力を発揮できる。
◆ATH-AWAS
伝統とは異なる新しい音への挑戦。どこかを強調することなく、低音から高音まで丁寧かつバランスの良い音作り。接続する機器をえり好みせず、高いポテンシャルを発揮する。曲のジャンルを問わないオールラウンダーだが、中でも現代的な曲調にフィットしやすい。

という感じのようでした。

どちらも魅力的。ただ、方向性はまったく異なっていて、自動車に例えれば『ATH-AWKT』はマニュアル車、『ATH-AWAS』はオートマチック車、という印象です。

自分の好みに照らすと、音の傾向は『ATH-AWKT』の方が合いそうですが、センシティブでうまく扱えない気もする。

ので、『ATH-AWAS』に決定。

そんな折、Amazonの期間限定セールに引っ張られる形で全体の相場が5000円ほど値下がりしたので、思い切って購入に踏み切りました。

ATH-AWAS外箱俯瞰 外箱裏

外箱の裏側には、注意書きなどが多言語で印刷されています。

右下に数字の印字されたシールが2枚貼られていましたが、これはシリアルナンバーなのでしょうか?

内箱は布張りで高級感が演出されています。

内箱外観 内箱内部

ヘッドホンスタンドに掛けてみます。

『ATH-AWAS』のヘッドバンドのスライダーは動きが固めで、伸ばした状態でしっかりと固定されます。

見下ろし 見上げ

ちなみにこのヘッドホンスタンド、見た目は良いのですが、使用後に掛けるとイヤーパッド内に湿気がこもりそうですし、幅が足りずイヤーパッドがはみ出してスタンドの縁の跡がつきそうなので、普段使いではなくディスプレイ専用です。

付属品はシンプルで、2種類のケーブルと取扱説明書だけ。

  • 6.3mmステレオ標準プラグのアンバランスケーブル(3m)
  • XLR-Mコネクターのバランスケーブル(3m)
  • ユーザーマニュアル
  • 取扱注意ガイド
付属品

残念ながら、4.4mm(5極)端子のバランスケーブルは同梱されていません。

そこで別売りの『HDC114A/1.2』を購入。これはDAPでの使用を想定してか、ケーブルの長さが1.2mしかありません。据え置き機と接続するには短いのですが、仕方ない。

HDC114A/1.2パッケージ裏 HDC114A/1.2本体

この『HDC114A/1.2』が発売されたのは2017年10月です。コネクターの規格が『ATH-AWAS』と同じ「A2DC」ではあるのですが、公式に対応しているとの記述はないため、実際のところ問題なく接続できるのか、懸念していました。

恐る恐る差し込んでみると。

ATH-AWASにHDC114A/1.2を接続

無事に接続できました。良かった!

ちなみに今回、「サイバール株式会社」から「TAVARAT」のブランド名で販売されている、姫路レザーを使用したコードクリップも購入してみました。カラーは「レッド」を選びましたが、「ダークブラウン」の方が良かったかもしれない。

TAVARATコードクリップ

『ATH-AWAS』はヘッドバンドが大きいため、いつも使っているヘッドホンスタンド、「サンワサプライ」の『PDA-STN15BK』では掛ける部分の長さが足りず、はみ出してしまいます。

そこで新たに「audio-technica」の『AT-HPS500』を購入しました。生産終了品のため中古ですが、状態の良いものを入手できました。

ケーブル等を接続した『ATH-AWAS』の全体像はこちら。

ATH-AWAS見上げ

磨き上げられた「アサダ桜」の艶やかなハウジングがとても良い感じです。

「アサダ桜」の木目は比較的均一な模様を描くらしく、見た目にハズレな個体はなさそうです。

ヘッドバンドの内側には「MADE IN JAPAN」が刻印がされています。

ATH-AWASのLeft内側 ATH-AWASのRight内側

装着してみると、可動域が狭いのか、イヤーパッドの下側が顔のラインにフィットせず、肌から浮いていました。密閉型ヘッドホンのはずなのに密閉されません。

いきなり問題発覚か?と思いましたが、時間が経つにつれてイヤーパッドが少しずつ形を変えて顔のラインになじんでいき、最終的には隙間なくフィットしました。低反発素材なのでしょうか。

続いて、肝心の音を聞いてみます。結論から先に言ってしまうと、慣らし運転が必要でした。

はじめ、低音は厚みに欠けて存在感が薄く、中音・高音は響きがなくて淡泊。全体的に締まりが無く、音の輪郭がにじんで曖昧。情感のない曲がだらだらと流れていく。言い方が悪いかもしれませんが、まるで粗製濫造された音でした。

まさか不良品?

しかし、他のヘッドホンと聞き比べしながら2時間が経とうかという頃、不意に、音が変わります。

まず、曖昧だった音の輪郭が、どんどんと鮮明になっていきます。そして、低音が力強く据わった音になり、中音・高音はきらびやかになりました。まるで能面のようだった音が、どんどんと表情豊かになっていきます。つぼみが花開く様子を早送りで見ているような、驚くほどの変化でした。

振り返ると、パッケージの裏側に貼られたシールの1枚には「2019-10」という印字がありました。これが製造月だとするなら、8ヶ月程度、倉庫に保管されていたことになります。もしかしたら、長期保管のせいで何か不具合が起きていたのかもしれません。

いずれにしろ、これが『ATH-AWAS』の本来の音なのでしょう。最初にまとめた、他の方のレビューの通りであったわけです。

ひとつ付け足せば、とても雑味が少ない音だと思いました。安いヘッドホンではノイズがあり、まるで黄ばんだキャンバスに絵を描いているような感じです。対して『ATH-AWAS』ではノイズが少なく、真っ白なキャンバスに絵を描いているようです。

「SONY」が製造する『MDR-Z7M2』に比べると、高音の耳に刺さる感じが、『ATH-AWAS』では若干軽減されている感じがして、聞きやすくなっています。

また『MDR-Z7M2』は音の分離が比較的良いと思うのですが、これがあだとなり、音が個々に強く主張しすぎて分断されて聞こえるときがあります。音を分離させる目的は達しているのですが、まとまりのある一つの曲として楽しむには、ちょっと都合が悪い。

対する『ATH-AWAS』もそれなりに音の分離が良いのですが、完全に分断されることはありません。音と音が調和していて、全体にまとまり感があります。いわゆる「モニターヘッドホン」のような音を求める方には期待外れだと思いますが、曲をひとつのまとまりとして楽しむなら、このまとまり感はとても良いと思います。

僕は低音が控えめの方が好きなので、『ATH-AWAS』の低音から高音までバランスよく鳴らす音作りは必ずしもクリティカルではないのですが、それでも聞きやすくて魅力的な音であることは確かで、いつまでも聞いていたくなります。

6月24日(水)追記

横を見たりとか、物を取ったりとか、自分が動くとたまにタッチノイズが発生することがあり、ちょっと気になっています。あくまで推測ですが、もしかしたら『ATH-AWAS』と『HDC114A/1.2』の相性が悪いのかも?

そこで他社製のケーブルを試すべく、お取り寄せ注文してみました。しかし2週間待ってもメーカー生産待ちの状況から変化がなく、これではいつ届くかわからないと思い、キャンセル。この他も、欲しいと思うケーブルはどこのネットショップも在庫無し。

ショップがダメなら、メーカー直販で買えないか?

探してみた結果、たどり着いたのが、「Brise Audio」の直販サイトです。こちらは音にこだわったケーブルを作っているメーカーさんで、オリジナル商品をショップに卸しているほか、直販サイトでは商品のカスタマイズやオーダーメイドを請け負っておられます。

そもそもの話になりますが、audio-technicaが開発・採用している「A2DC端子」に対応した製品は少ないです。しかも、どのメーカーの製品もポータブル用途を想定したケーブル長1.2mばかりで困っていました。

しかし、カスタマイズができるとなればその束縛から解放されます。

ということで先日、「Brise Audio」さんに長さ2.0mでカスタム注文しました。発送は月末ごろになるとのことで、楽しみです。

7月2日(木)追記

6月30日、注文したカスタムケーブルが届きました

左が注文した『flex001SE』で、右が「audio-technica」のバランスケーブル『HDC114A/1.2』です。端子の金色の部分は同じに見えますが、根元部分の構造がぜんぜん違う。これ、もしかして『ATH-AWAS』には付かないんじゃ?

純正ケーブルとflex001SE

はい、付きませんでした。端子の形状が同じ「A2DC」だから付くだろうと考えたのですが、根元の構造までは考えていませんでした。

よくよく調べてみれば、『flex001SE』はイヤホン用のケーブル。付かなくて当たり前か。

完全にやらかしてしまった‥‥。

さて、このケーブルはどうしたもんか。

SONYの『WALKMAN NW-ZX507』と『XBA-N3BP』を持っているのですが、「どうやら自分はSONYよりもaudio-technicaの方が好みらしい」ということがわかってきたので、この際、イヤホンを買い替えることにしました。

その辺りの詳しい話はこちらのページで

ずぶずぶとオーディオ沼にはまってしまっている、今日この頃です。

9月13日(日)追記

7月下旬、「Brise Audio」の直販サイトであらためてケーブルを注文しました。

選んだケーブルは、今度こそヘッドホン用の『MIKUMARI』。アンプ側端子はもちろん「4.4mmバランス」で、長さは2.5mにしました。

数種類あるヘッドホン用ケーブルの中で高価な部類になる『MIKUMARI』のお値段は、92,400円。財布のダメージがかなり厳しいですが、『flex001SE』で品質の素晴らしさを実感したので、奮発しました。

注文する前に問い合わせ、回答で指示されたとおり、注文する際の特記事項に『ATH-AWAS』で使用する旨を記載。注文が殺到しているとのことで、発送予定は約50日後の9月9日となりました。

じりじりしながら待つ日々が続きましたが、予定通りに9月9日に発送され、翌10日に受け取りました。

そんな『MIKUMARI』のレビューはこちらのページで。

期待を裏切らない素晴らしいケーブルです!