SONY MDR-Z7M2

Update*2022年01月28日(金)

Date*2020年02月15日(月)

概要と基本情報

『MDR-Z7M2』は、先代である『MDR-Z7』(2014年発売)に、フラグシップ機である『MDR-Z1R』(2016年発売)で培われたノウハウを投入して進化させた、ニューバージョンになります。音質や装着感の向上を図りながらも、価格の上昇は抑えられています。

70mmという大型のダイナミック型ドライバーユニットには、「アルミニウムコートLCP振動板」「大型ネオジウムマグネット」が使用されていて、非常に広い再生周波数帯域を実現しています。

また、ブラッシュアップされた「フィボナッチパターングリル」によって音の損失やゆがみの発生を最小限にするとともに、ハウジングに通気口をもうけることにより音の抜けも改良されています。

さらに、リケーブルが可能となり、バランス接続にも対応しています。

基本情報
メーカーSONY
製品名MDR-Z7M2(製品情報ページ
発売日2018年10月6日
形状オーバーヘッド
ハウジング密閉型
リケーブル可能(両出し)
駆動方式ダイナミック型
ドライバーユニットサイズ70 mm
インピーダンス56 Ω
音圧感度 (能率)98 dB/mW
最大許容入力2,000 mW
再生周波数帯域4 Hz ~ 100kHz (100,000 Hz)
重量約 340 g
付属ケーブル3.5mmアンバランス(3.0m)銀コートOFC線
4.4mmバランス(1.2m)銀コートOFC線
※インピーダンスが高いほど、音量を出すために大きな出力が必要になる。
※音圧感度が高いほど、少ない出力で大きな音が出る。100db/mW前後が標準的。
※最大許容入力が大きいほど、大きな出力をかけても、音割れやひずみが発生しにくくなる。
※再生周波数帯域は、鳴らすことができる音の範囲。人間が聞き取れる音は一般に、20Hz ~ 20kHz(20,000Hz)と言われる。しかし、聴覚は未解明な部分もあり、聞き取れない音でも音楽の印象に影響を与えている、とする主張もある。

パッケージとフォルム

飾り立てない、シンプルなデザインのパッケージです。

シュリンクの一面だけを切り取って、外装から内箱を取り出すことができます。

『MDR-Z7M2』パッケージ 内箱外観

内箱もシンブルなデザインで、黒地に「SONY」の文字だけが刻印されています。

内箱は、左に開くようになっています。

内箱内側

右側に『MDR-Z7M2』が収められています。

左側の内箱のフタになる部分には仕切りがあり、これを開くと付属品が入っていました。

小物入れ パッケージ内容

パッケージ内容は、

  • ヘッドホン本体
  • 3.5mmアンバランス接続ケーブル(長さ3.0m)
  • 変換プラグ(3.5mm → 6.3mm)
  • 4.4mmバランス接続ケーブル(長さ1.2m)
  • 取扱説明書
といったところ。

2本のケーブルはどちらも造りがとてもしなやかで、取り回しが良いです。

4.4mmバランス接続ケーブルは、L字プラグが採用されています。長さも1.2mですし、ウォークマンなどの携帯音楽プレーヤーでの使用が想定されていると思われます。

右アームの目盛り 左アームのシリアルナンバー

アームの伸縮部分には10段階の目盛りがあります。1段階ごとに、カチカチと軽く留まる感覚があります。

左アームには、型番とシリアルナンバーが刻印されています。

レビュー

身につけたときのフィット感がとても良いです。アームが顔の形に沿うように動いて、自然になじみます。イヤーパッドは厚みがあってふわふわなので、当たりも柔らかいです。

とはいえ、側圧はそれなりにありますから、3時間、4時間‥‥と、ずっと装着したままでいるとさすがに、接触する部分が少し痛くなってきます。長時間の鑑賞には向かないかもしれません。

重量は約340gあるのでそれなりに重さは感じますが、見た目から想像するほど重くはないかなと思います。

アンバランス接続

アンバランス接続で聴いてみます。

密閉型なので音場の広がりはどうしても限定されてしまいますが、ハウジングの通気口の効果でしょうか、少し広めの音場に感じられます。

音のバランスは、おおむねフラットに近いですが、低音に存在感があります。

低音は、単純に量感があるだけでなく、音の像がくっきりとしています。そのため自身の存在を重厚に主張しつつも、高音や中音を塗りつぶすことはなく、むしろ楽曲の基盤となり全体を安定させているように感じます。

高音は、鮮やかでありながらも華美ではなく、真っ直ぐです。一つの色がそれ自身の力で美しく輝くように、音の魅力がストレートに発揮されていると思います。

中音は、主張がそれほど強くありませんが、埋もれてしまうほど弱いわけでもありません。特徴的なのはキレの良さで、音の流れの連続性を保ちつつも、ひとつひとつの音が明瞭です。

キンキン響いたりビリビリ割れたりといった耳障りな音が、ないわけではないですが、比較的少ないです。かなり聞きやすい音で、スッと耳に入ってくることは素晴らしいと思います。

それだけに、若干のノイズがある点がもったいないです。ただしその原因はヘッドホンではなく、アンバランス接続の特性か、ケーブルの特性ではないかと思います。なまじ音が聞きやすいがゆえに、ノイズもはっきり出てしまった形です。

分解能というか、音を微に入り細に入り描き出す能力はそれほど高くありません。音を聞きやすくした分だけ、削られた音もあるのだと思います。

バランス接続

続いて、バランス接続です。

音の傾向はアンバランス接続時と変わりなく、おおむねフラットであるもの、若干ながら低音>高音>中音という傾向が見られます。

アンバランス接続時に感じたノイズは、まだある程度は残るものの、気にしなければ気にならないレベルまで改善されます。これにより、音がクリアになり、音場の見通しも良くなりました。

耳障りな音が少なく聞きやすいこともそのままですが、ノイズが減って音がクリアになった点が大きく、まるでヘッドホンの性能が上がったかのような、音質の改善が感じられます。

全体としての満足感が高くなったと思います。

装着感でも音質でも、リスニング機としては弱点らしい弱点がないと思います。もちろん、上を見ればもっと上があることは当然ですが、これはこれで一つの到達点であるでしょう。求める方向性が決まっておらず、とりあえずたいていの曲はそつなくこなせるヘッドホンが欲しい、という方におすすめできるヘッドホンだと思います。

逆に、求める方向性がはっきりしている方にはおすすめできません。特定のジャンルに向いたヘッドホンが欲しい、個性的なヘッドホンが欲しい、分析的なヘッドホンが欲しい、何事も完璧にこなせるヘッドホンが欲しい、などの場合は、目的に見合うヘッドホンを探す方が良いと思います。