TEAC CG-10M マスタークロックジェネレーター

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Diary*2023年10月09日(月)

CG-10M + UD505 のレビュー

マスタークロックジェネレーターの「TEAC CG-10M」を、DAC内蔵ヘッドホンアンプの「TEAC UD-505」に接続したレビューになります。

総評としては、いいことずくめです。それなりの分離感と解像感を発揮すると同時に音楽としての一体感も損なわないという、リスニング寄りな UD-505 の能力がさらにアップグレードされ、音楽の魅力が増して、より楽しめる環境になりました。

UD-505 単体の音はナチュラルで丸みを帯びているので、耳への当たりが優しく、聞き疲れしにくいです。時間に縛られずゆったりと音楽鑑賞するのに向いています。その分、分離感や解像感はやや抑制的で、分析的な音楽鑑賞にはあまり向きません。

しかし CG-10M の導入で、解像感が大きく改善されています。ひとつひとつの音の輪郭がくっきりと明瞭になっています。また、音の強弱、メリハリも良くなったと感じます。伸びる所はのびのびと伸びていきますし、切れる所は歯切れ良く切れています。

それでいて、音がシャープになりすぎないのも良いところです。解像感は上がっても音の丸みは健在で、耳へのダメージが少なく、長時間の使用でも痛くなりにくい。音と音のぶつかり合い、きしみのようなものがなくて、全体を見渡したときの音楽としての調和、まとまりも損なわれていません。

対して、音の分離感、例えるならドレッシングをオリーブ油やレモン果汁やビネガーなどに分離させるように、一体となっている音楽を分解して構成するひとつひとつの音に独立させる能力には、変わりがないように思います。しかし、上記の通り、ひとつひとつの音の解像感が向上したことによって、ぼやけて聞こえにくかった音が明瞭に聞こえやすくなるので、その結果として、音の分離感が上がったような印象を受けます。

このように、音の姿かたちがよく見えるようになることで、音の色彩や味わいといった感覚もとらえやすくなっています。

「FiiO K9 Pro ESS」と比較すると、分離感でも解像感でも UD-505+CG-10M より上を行くと思いますが、リスニング向きではない印象です。

FiiO K9 Pro ESSは、ヘッドホンアンプとして非常にスペックが高いと感じます。音がとてもクリアで、シャープです。しかし、切断面の面取りをしていないようなエッジのきつい音なので、とても耳に痛かったです。長時間の使用には向かないと思いました。瞬発的な音の楽しさを感じたり、分析的に聞いたりする用途には良いと思いますが、時間を忘れて音楽を楽しむ、という感じではないと思います。

「SONY TA-ZH1ES」と比較すると、低音寄りの SONY TA-ZH1ES、高音寄りの UD-505+CG-10M、という違いはありますが、音楽としての魅力、聴く楽しさはどちらも素晴らしいと思います。

SONY TA-ZH1ES は、高音が突出して破綻しないように安全弁を付けているような印象です。非常に高い音でも刺さらず聞き取りやすい反面、音の伸びやかさが抑制的になってしまって、おとなしく感じます。高音が控えめになっている分、低音がやや強めに出るバランスになっています。

一方、スペック的な意味での分離感や解像感においては、大きな優劣はないように思います。

なお、UD-505 は複数の入力端子がありますが、工場出荷状態でマスタークロックジェネレーターの恩恵を受けられるのは、USB と NET のみとなっています。OPTICAL および COAXIAL においてはファームウェアのアップデートが必要です。TEACのダウンロードページから Ver1.53 以降のファームウェアをダウンロードし、UD-505 にインストールしてください。

TEAC CG-10M 概観

TEAC CG-10M はマスタークロックジェネレーターと呼ばれる機器です。

実のところ、マスタークロックジェネレーターの機能を正確には理解できていないのですが、自分なりには、音の不正確性の補正、感覚的に言えば「揺らぎ」「ブレ」のようなものを軽減する機材なのかな、と理解しています。

ラインナップはシルバーのみ。ブラックもあるとうれしかったのですが、メジャーな機材ではないですし、カラーバリエーションを期待するのは望みすぎか。

インターフェイスはいたってシンプル。

正面には、電源スイッチと動作状況を示すアナログメーターしか有りません。

背面には、BNC同軸デジタルケーブルを接続する端子が4つ。黒いツマミは、アナログメーターのバックライトの明るさを調整するツマミです。

底面には、3つの足がついています。

TEAC CG-10M 正面 TEAC CG-10M 背面 TEAC CG-10M 底面

ちなみに、CG-10M の色に合わせて、UD-505 もシルバーに買い替えました。現行製品の UD-505-X ではなく、いわゆる無印の方です。

UD-505 が生産が終了した後の一時期は価格が高騰していたような気がしますが、いまは元の価格に戻っています。市場に出回っている新品は在庫がなくなりつつあるので、ほしい方は早めに購入された方が良いでしょう。いずれまた、プレミア価格になりそうです。

TEAC UD-505 シルバー

ケーブルの接続と UD-505 の設定

CG-10M と UD-505 は 50Ω のBNC同軸デジタルケーブル(BNCケーブル)で接続します。パッケージには同梱されていないので、別途、購入する必要があります。

一応、75Ω のBNCケーブルでも接続できるようですが、仕様に沿って 50Ω を選んだ方がいいでしょう。

今回は、サイバーシャフトのBNCセミリジッドケーブル BNC50RG-030 を購入しました。調べてみると、もう少しお高い SAEC DIG-T50 などを利用される方も多いようです。

サイバーシャフトのBNCセミリジッドケーブル パッケージ サイバーシャフトのBNCセミリジッドケーブル ケーブル本体

つなぎ方の解説が見当たらないので手探りでやってみましたが、どうやら、機器の端子の突起と、ケーブルの端子のミゾを合わせて差し込んでから、右に回転させて固定すればいいようです。

少し固いですが、精密機器なので作業が乱暴にならないようにしましょう。

BNCケーブルの接続手順1BNCケーブルの接続手順2BNCケーブルの接続手順3

もう1点、ELECOM ディスプレイスタンド PCA-DPSW3812BK も購入しました。

CG-10M と UD-505 をそのまま積んで使うこともできますが、安定性や放熱などを考えると、やっぱり棚があった方がいいかな?と思いまして。

ただ、この製品に行き着くまでにはかなり難儀しました。高さが 10cm 程度ほしいのですが、探してみると高さ 8cm の製品ばかりなんですよね。半日がかりでようやくこの PCA-DPSW3812BK を見つけることができました。

開封してみて、「これ、どうやって組み立てるんだろう‥‥」と思いましたが、単純に差し込むだけでOKでした。

ELECOM ディスプレイスタンド PCA-DPSW3812BK の組み立て

というわけで、設置します。

とても良い具合になりました。グラつきもなく、しっかりと安定しています。

UD-505 と CG-10M の設置

最後に、UD-505 でクロックシンクを有効にします。

MENUボタンを押してから、入力切換ツマミ(INPUT)を回します。CLOCK SYNC が表示されたらツマミを押し込みます。OFF の表示が点滅するので、ツマミを回して ON に合わせ、再度ツマミを押し込みます。最後に、MENUボタンを押して元の画面に戻ります。

UD-505 クロックシンクの設定